夢って不思議だね、こんなにある幻想物語

豊饒の海 ②

第二巻 奔馬

この第二巻に関しては日本のフィルムリンク・インターナショナル、アメリカのアメリカン・ゾエトロープとルーカスフィルムの2つの制作会社が作った芸術映画となっている。

アメリカ合衆国などでは公開されたが、2013年現在まで日本では未公開となっている。

三島由紀夫は夢と転生の物語を…。

あらすじ

時代背景として1932年6月~1933年の年末までとなっている。

聡子と再会する希望も叶わず清顕が命を落としてから既に18年の時が流れていた。親友だった本多繁邦は38歳になり、大阪控訴院判事として日々を過ごしていた。とある日、本多は頼まれて見に行った大神神社の剣道試合で、竹刀の構えに乱れのない一人の若者に目がいく。飯沼勲という名の少年は、かつて清顕付きの書生だった飯沼茂之の息子だった。試合終了後、本多は三輪山の三光の滝で勲に遭遇し、彼の脇腹に清顕にあった三つの黒子があることに気づく。あれから18年、本多は清顕の死に際の言葉を思い出して驚愕してしまう。まさかの清顕が残した戯言に本多は唖然としてしまう。

そこで本多は勲から、愛読していたという『神風連史話』を渡される。勲はその精神を以って有志達と『純粋な結社』を結成し、決死の何事かを成し遂げようとしていた。勲は政界財界華族の腐敗に怒りを覚えており、仲間とともに武力によってこの国を変革しようと企んでいたのだ。陸軍の堀中尉に近づき、洞院宮治典王殿下とも謁見をしていた。軍の協力に期待が持ち始め仲間も増えていくが、勲は父の主催する右翼塾『靖献塾』にいる佐和から、蔵原武介だけはやめろと忠告される。塾が蔵原絡みの金で経営されているのを仄めかされ、勲は自分の純粋の行為の目的が汚されると感じていた。佐和は、蔵原は自分が退熟して指すか、もし勲がやるならば自分も同士に加えてくれと嘆願する。自分が加われば塾に傷がつかずにうまく行くと交渉するが、勲は何も計画していないと嘘でその場を乗り切った。

本多は勲の父・飯沼に誘われ山梨県梁川での錬成会にやってきたが、そこで勲の荒魂を鎮めようとする白衣の男達を目撃する。勲は『お前はあらぶる神だ、それに違いない』と父に言われてしまう。そして、その光景は清顕の夢日記に書かれていた光景そのものだったという。本多は勲が清顕の生まれ変わりであるという確信も深めていく。

堀中尉が満州へ転属となり。勲の仲間は減ってしまうが、財界要人の刺殺計画は佐和を同士に加え秘密裏に計画していた。ところがどこからか計画が漏れてしまい、勲たちは実行前に逮捕されてしまう。本多は急遽、勲を助けるために判事を辞職して弁護士となり勲を救う決意をする。本田の弁護により、勲たちは1年近い裁判の末、無罪となり釈放となるが、警察への密告を最終的にしたのが父ということを知った勲は茫然自失してしまう。酔った勲がうわごとで『ずつと南だ。……南の国の薔薇の光の中で。……』というのを本多は耳にする。

12月29日に勲は姿をくらまし、短刀を携えて伊豆山に向かう。そして、財政会の黒幕・蔵原武介の別荘に忍び込み殺害してしまう。追っ手を逃れた勲は夜の海を前にした崖で鮮烈な切腹自決を遂げてしまう。

ゲームでも夢を題材に物語が…。

登場人物

  • 飯沼勲(18 - 19歳)
  • 本多繁邦(38 - 39歳)
  • 本多梨枝
  • 飯沼茂之(43 - 44歳)
  • 飯沼みね
  • 鬼頭謙輔
  • 鬼頭槇子(32、3歳)
  • 堀中尉(26、7歳くらい)
  • 洞院宮治典王(44 - 45歳)
  • 佐和
  • 井筒、相良(18 - 19歳)
  • 蔵原武介
  • 新河亨(新河男爵)(53 - 54歳)
  • 新河男爵夫人・ジュンコ
  • 松枝侯爵(61歳くらい)

刊行物

『奔馬(豊饒の海・第二巻)』(新潮社、1969年2月25日)

装幀:村上芳正。布装(黒絹装)。貼函。銀色帯。帯(裏)に川端康成による作品評。

※ カバーの墨跡は、神風連の加屋霽堅の書より。

※ 私家限定本(総革装。天金。見返しマーブル紙使用)4部あり。

文庫版『奔馬(豊饒の海・第二巻)』(新潮文庫、1977年8月30日。改版2002年)

カバー装幀:池田浩彰。付録・解説:村松剛。

※ 改版2002年より、カバー改装:新潮社装幀室。

新装版『奔馬(豊饒の海〈二〉)』(新潮社、1990年9月10日)

装幀:菊地信義。紙装。筒函。函(裏)にフランツ・ブンダース、野口武彦による作品評。

英文版『Runaway Horses―The Sea of Fertility』(訳:Michael Gallagher)(タトル商会、1973年1月。他多数)