夢って不思議だね、こんなにある幻想物語

豊饒の海 ①

シュバンクマイエルが取り上げた夢を題材にした作品というものは日本でもよくあるテーマとなっている。今回はその中でも昭和の鬼才として知られている『三島由紀夫』さんが生涯最後に記した長編小説『豊饒の海』について話していこう。

昭和初期から後期にかけて活動していた日本でも稀代の作家の一人として知られる三島由紀夫さんの長編小説、こちらも夢を題材にした物語となっている。テレビドラマ化や映画化などマルチメディア作品として展開された本作品は文芸雑誌『新潮』に1965年9月号から掲載され、1971年1月号まで連載されていた。今作の最終回は彼が自決する前に間接的に担当者に手渡されていたため、最終回である『天人五衰』が彼の遺作となっている。

タイトルの豊饒の海とは月の海の1つである『Mare Foecunditatis』のラテン語を日本語訳したものになっている。

モデルとなった寺院には奈良市の『圓照寺』となっている。

内容としては『浜松中納言物語』を典拠しており、『夢と転生の物語』をイメージして作られた。夢と生まれ変わりによって筋が運ばれ、20歳で死ぬ若者が、次の巻の主人公に生まれ変わっていくという、当時としては斬新な構成だろう。仏教や神道など、東洋の伝統を踏まえて書いており、第一巻は「たわやめぶり(手弱女ぶり)」あるいは「和魂」を、第二巻は「ますらをぶり(益荒男ぶり)」あるいは「荒魂」を、第三巻は「エキゾチックな色彩的な心理小説」でいわば「奇魂」を、第四巻は「それの書かれるべき時点の事象をふんだんに取込んだ追跡小説」で「幸魂」へみちびかれるもの、と三島由紀夫さんは述べたという。

本作について三島さんは『あの作品では絶対的一回的人生というものを、一人一人の主人公はおくっていくんですよね。それが最終的には唯識論哲学の大きな相対主義の中に溶かしこまれてしまって、いずれもニルヴァーナ(涅槃)の中に入るという小説なんです』と語っており、また『小説家になつて以来考へつづけてゐた“世界解釈の小説”を書きたかつた』とも述べている。これは人間世界の成り立ちやその意味を解き明かす、小説なるものの存立の意味を示すことという『究極の小説』を目指していたのだ。1950年の創作ノートには既に豊饒の海を予告するような『螺旋状の長さ、永劫回帰、輪廻の長さ、小説の反歴史性、転生譚』といった綴りがあったという。

ではここから作品についての説明をしていく。

まず始めの第一巻はテレビドラマ化などもされたため、その説明を入れながら順々に書いていこう。

三島由紀夫は夢と転生の物語を…。
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第一巻 春の雪

あらすじ

時代は明治末から1914年の早春までを背景に展開していく

新華族の松枝公爵の令息である松枝清顕は生まれた沖から帰属であることを約束されている何不自由のない生活を送っていた。流れるままの生活に何か蟠りを抱えていた。清顕は幼い頃に、本物の華族としての優雅さを身につけさせようとする父の意向もあり堂上華族の綾倉家に預けられていた。綾倉家の一人娘・綾倉聡子は清顕より2歳年上の令嬢で、そんな聡子に清顕は初恋のような感情を抱きながら、本当の姉弟のように育っていった。しかし自尊心の強い繊細な18歳の清顕にとっては聡子は疎ましくも感じる、複雑な存在でもあったのだ。

聡子自身もいつからか清顕を恋い慕うようになっていたが、清顕は些細なことで聡子に子ども扱いされたと思い込んでしまい、自尊心を傷つけられ、突き放したような態度を取るようになってしまう。聡子は失望して洞院宮治典王殿下と婚約するが、清顕は父が聡子の縁談話を話題にしても、早く嫁にいった方がいいという冷淡な態度を取っていた。しかし、聡子は清顕の想像を超えて清顕を深く愛していた。

いよいよ、洞院宮治典王殿下との婚姻の勅許が発せられ、清顕の中でにわかに聡子への恋しさが募っていく。皇族の婚約者となったことで聡子との恋を禁断と化した事から、日常生活からの脱却を望む清顕は、聡子付きの女中・

蓼科を脅し、聡子と会い瀬を重ねることを要求し、聡子もこれを受け入れる。親友・本多繁邦の協力もあり密会を重ねていき、聡子は遂に妊娠してしまう。堕胎を聡子から拒まれた蓼科が自殺未遂をしたことにより、清顕と聡子の関係が両家に知れ渡ってしまう。聡子は大阪の待つ枝公爵の知り合いの医師の元でおろされてしまい、そのままならの門跡寺院『月修寺』で自ら髪を下ろし出家してしまう。洞院宮治典王殿下との婚姻は聡子の精神疾患を理由に取り下げを願い出ていた。

清顕は聡子に一目会おうと春の雪の降る2月26日に月修寺へ赴くが門前払いされてしまう。何とかして聡子と面会しようと清顕は食い下がるが、聡子本人から拒絶されてしまう。それでも雪が降り続けるな構っていた清顕は肺炎を患ってしまい、20歳の若さで清顕は命を落としてしまう。

死ぬ直前に親友の本多繁邦に『又、会ふぜ。きつと会ふ。滝の下で』と、奇妙な言葉を残して、再会の約束をすることになる。

次に登場人物を紹介していく。

ゲームでも夢を題材に物語が…。

登場人物

  • 松枝清顕(18 - 20歳)
  • 綾倉聡子(20 - 22歳)
  • 本多繁邦(18 - 20歳)
  • 松枝侯爵(41 - 43歳くらい)
  • 松枝侯爵夫人・都志子
  • 月修寺門跡(老年)
  • 松枝侯爵の母(老年)
  • みね
  • 飯沼茂之(23 - 24歳)
  • 蓼科(62 - 64歳)
  • 綾倉伊文伯爵
  • 綾倉伯爵夫人
  • 聡子の母。
  • パッタナディド殿下(ジャオ・ピー)(18 - 19歳)
  • クリッサダ殿下(クリ)(18 - 19歳)
  • 洞院宮治典王(25 - 26歳)
  • 新河男爵(34歳)
  • 新河男爵夫人

舞台化

『春の雪』東宝現代劇特別公演

1969年(昭和44年)9月4日 - 12月27日 東京・芸術座

脚色:菊田一夫。演出:菊田一夫、平山一夫。美術:朝倉摂。照明:穴沢喜美男。音楽:中能島欣一。振付:藤間大助。効果:吉田美能留。制作:岸井良衛。

出演;市川染五郎(現・松本幸四郎)、佐久間良子、一の宮あつ子、内山恵司、志村喬、ほか

※ 当初は10月29日までの予定だったが延長公演。プログラムに三島が文章を寄せている。

『春の雪』松竹 三島由紀夫作品連続公演 II

1973年(昭和48年)1月3日 - 28日 東京・日生劇場

脚色・演出:川口松太郎。演出;戌井市郎。美術:古賀宏一。照明:相馬清恒、沢田祐二。音楽:藤井凡大。効果:辻亨二。舞台監督:岩村久雄。制作:寺川知男、竹崎龍之介。

出演;佐久間良子、(故人)市川團十郎、丹阿弥谷津子、神山繁、加藤治子、南美江、北城真記子、ほか

※ 1973年(昭和48年)5月、ビクターより舞台録音のLPレコード発売。

『春の雪』松竹 市川海老蔵 酒井和歌子初顔合せ公演

1979年(昭和54年)3月3日 - 26日 京都・南座

脚色・演出:川口松太郎。演出;戌井市郎。美術:古賀宏一。照明:相馬清恒、吉野博。音楽:藤井凡大。効果:辻亨二。舞台監督:遠藤宣彦、竹柴規雄。制作:寺川知男、橋本幸喜。

出演;(故人)市川團十郎、酒井和歌子、辻萬長、久米明、丹阿弥谷津子、内田稔、ほか

バウ・ミュージカル『春の雪』

2012年(平成24年)10月11日 - 22日 宝塚バウホール、10月31日 - 11月5日 東京・日本青年館

脚本・演出:生田大和。

出演:明日海りお、ほか宝塚月組

テレビドラマ化

おんなの劇場『春の雪』(フジテレビ)

1970年(昭和45年)2月27日 - 4月3日(全6回) 毎週金曜日 21:30 - 22:26

脚色:大野靖子。演出:大野木直之。時代考証:坊城俊民。

主演:吉永小百合、(故人)市川團十郎、乙羽信子、山形勲、観世栄夫、高橋長英、露口茂

映画化

『春の雪』 2005年(平成17年)公開

監督:行定勲。脚本:伊藤ちひろ、佐藤信介。企画:藤井浩明・三島威一郎(本名:平岡威一郎)。

主演:妻夫木聡(松枝清顕)、竹内結子(綾倉聡子)、高岡蒼甫(本多繁邦)、若尾文子(月修寺門跡)、ほか

刊行物

『春の雪(豊饒の海・第一巻)』(新潮社、1969年1月5日)

装幀:村上芳正。布装(紫絹装)。貼函。金色帯。帯(裏)に川端康成、北杜夫による作品評。

※ 私家限定本(総革装。天金。見返しマーブル紙使用)4部あり。

※ 奥付での印刷・発行日表記が、前年の「昭和43年10月25日印刷/昭和43年10月30日発行」となっているものが小部数あり。

文庫版『春の雪(豊饒の海・第一巻)』(新潮文庫、1977年7月30日。改版2002年)

カバー装幀:池田浩彰。付録・解説:佐伯彰一。

※ 改版2002年より、カバー改装:新潮社装幀室。

新装版『春の雪(豊饒の海〈一〉)』(新潮社、1990年9月10日)

装幀:菊地信義。紙装。筒函。函(裏)にヴィクター・ハウズ、トマス・ラスク、柄谷行人による作品評。

英文版『Spring Snow―The Sea of Fertility』(訳:Michael Gallagher)(タトル商会、1972年1月。他多数)

『春の雪』(中公文庫コミック、2008年)

脚本・構成:池田理代子。画:宮本えりか。